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設けて、これらの役割を有効に受持たせた例もある。
一般に船側部はこのような航行中の外力よりもむしろ接舷時、係留時等に受ける外力の方が重大な意味を持つ場合が多い。したがって、実船解析については考え方次第で種々の結論が出る。しかし、設計の基準としては一応の計算法を確立しなければならない。外力の基準としては5.2.3に述べたように船底衝撃水圧、甲板荷重から計算用の船側水圧を規定する。
表5.22に最大衝撃水圧後端位置における船底水圧P1、甲板水圧P・、船側水圧P3(RR11基準(案)によるもの)を示す。暫定基準では、船側水圧は(P1+P2)/2を採っている。
船側外板の計算は船底外板の計算式のP1の代わりにP3を使用する。表5.23は船側外板の例であるが、計算上、板厚不足のものが3例あり、特に「ランナバウト1」は安全率でカバーされる範囲よりはるかに低いが、安全に使用されていた。

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ランナバウト等の軽舟艇では木造艇以外は横肋骨を設けないのが普通であり、その場合は経験による剛性設計と見ることができる。
船側外板の単位幅当りの曲げ剛性(曲げモーメントによる板のたわみ易さ)をt3E(t:船側外板の厚さ、E:材料のヤング率)とし、それに作用する曲げモーメントを、船の単位長さ当りの排水量がスパンlの中央に作用したと見做したW/L×l2で表すと、その実績は、表5.25、図5.8のようになる。
アルミニウム合金艇はこの種の例が少ないので、FRP艇の限界的設計の例と比較する。「レーサー」、「ランナバウト5」はカーボン繊維を混用したFRPであるが、「ランナバウト5」はやや剛性不十分の傾向が見られた。以上によるとFRP構造の場合、t3Eが4×105×(Wl2/L)0.888をほぼ限界と見ることができよう。アルミニウム合金艇の例はこの値に対しては多少余裕があるが、FRPの場合、破壊までほとんど永久変形が残らない(曲げ破断強度が25〜30kgf/mm2と考えてよい)ことを考えれば、アルミニウム合金に対してはt3Eが735×103×(Wl2/L)0.888程度が限界と考えてよいのではなかろうか。
(2)船側縦肋骨
船側縦肋骨の断面係数は船側水圧P3の1/3の等分布荷重に対し両端固定、耐力に対し安全率1.5として設計する。
Z=420P3sl2/σy(cm3)S:船側縦肋骨の心距(m)
l:船側縦肋骨のスパン(m)
表5.26に計算例を示す。いずれも余裕を持って合格としている。
一方、暫定基準では両端固定の等分布荷重と見做し、端部のモーメントに対し、安全率1.5として塑性断面係数を規定している。

 

 

 

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