d. ディープ・オメガ型は、船底に加わる波浪の節義をやわらげ耐波性を向上し、チャイン下の滑走面により滑走し易くする。
e. 前部チャイン下のフレアーを増し、十分な動的場力を得ることによりブローチングを避けることができる。速度長比に対応する高連船の動的場力は概ね排水量に対する下記百分率が目安である。
f. 高連船には重力、浮力、船体とスプレーストリップに動的揚力、風浪の5つの力が加わり、重力の外は航走状態により力の大きさと、力の作用点が複誉に変化するので、船型試験は水槽試験より実船実験の方が道かに信頼度が高い。航行区域の海象と所要の船速によって最適な船型を選定する。
(6)その他
a. プロペラがキャビテーション・ゾーンで作動していることが多い。急激な劾率の低下・船体振動と著しいエロージョンがなければ已むを得まい。
若し、翼根部のみのエロージョンであれば、シャフトのレーキが主な原因と考えられる。対策としては翼根部に穴をあけるとよい。
b. 完全滑走状態にするために必要な排水量1トン当りの馬力は50ps/tといわれている。
c. なるべく機関安全使用範囲に収まり、所要の速力を最小の主機出力で発揮できる効率のよいプロペラを選ぶ。プロペラ選定の良否は速力に影響を与えるばかりでなく、無駄な馬力と燃料油の浪費並びに主機関の寿命を早めることになるので十分な配慮が肝要である。
2.3 旅客船の復原性
2.3.1 旅客船の復原性基準
1948年SOLASは復原性基準の設定をめざし、各国政府は、この研究を進め、その情報を交換することを勧告した。当時米・ソ両国においては一応の基準が設けられていたが、長も難しい波の影響は未だ取り入れられていなかった。そこで我国では1953年、運輸省が船舶安全法関係法令の全面的改正に着手し、その重要な一環として船舶復原性基準を設定する方針を定め、東大・九大・運研・NK及び官民のSTABILITYの権威者の協力の下に研究が進められ、1955年には甲・乙・丙の三つの基準を作成し、これが「船舶復原性規則第四章 旅客船の復原性の基準」として法制化されたのは、SOLASの勧告を受けてから8年後の1956年であった。
前ページ 目次へ 次ページ
|
|