日本財団 図書館


 

d. 可変ピッチ・プロペラの装備
可変ピッチ・プロペラを装備し、主機関の回転数を下げて翼角を大きくすると、主機関のMCR1,600psとすれば、常用出力で約60ps、燃料消費量で約12l/hrの削減が可能である。
以上a,b,c,dを総合すると、主機出力を693開削減できることになる。
(4)輸送効率の向上
主機出力の削減は、燃料消費量の削減、機関重量及び燃料油搭載量の削減、さらに機関室の縮小につながり、ひいては輸送効率の大幅な向上となる。
従来の船は風速20m/sec程度で向かい風の時は、波との出会いにより船速が低下し、かっ排気温度があがり、出力上昇によるオーバーロードのため。やむなく主機関の回転数を下げ航行することになり、ますます速力は低下して遂に航行不能となった。
LPPを長くし、CBとCPを小さくし、船首をやせさせ、船首船底がパンチングにより損傷を受けないような形状とし、船首フレヤーを大きくつけ、かつ船尾を漁船型にしてピッチング角を小さくし、追い風に強くすることにより、荒天時に数航性のある船型として荒天時における運航を可能とし輸送効率を向上させることができる。
なお、船型を改良し、かつ可変ピッチ・プロペラを装備し、回転数を上げ翼角を下げることで荒天時における運航を可能にした船もある。
(5)緒言
以上の考察は油送船のみならず各種船舶の船型並びに推進性能について、設計上重要なポイントとなる事項を示唆したものである。
2.2.7 小型高速旅客船について
高速船を専門とする企業からの受講者が増加しつつある現状と、陸上交通機関のスピードアップに対応するため旅客船も高速化の傾向が害しく、かつ高速運賃との関係もあって航海速力22ノット以上を要求される小型高速旅客船の需要急増に鑑み、ここに小型高速旅客船について述べる。
(1)小型高速旅客船の動向
船体と水面の間にエヤー・クッションを作って走るホーバークラフト、水中翼船ともいうハイドロ・ホイール、ウェスタマラン、スーパーマラン、ジェット・フォイルなどの新型式の高速旅客船が実用に供されている。一方では省エネルギー時代を迎え所謂高速庫と称される本邦では軍用から発達した小型高連船が見直され、小型旅客船として用いられている。この大きな理由としては次の点が挙げられる。
a. 官庁艇として戦後の開発が結実したこと。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION