
第2章 原価及び財務管理
2.1 原価管理
2.1.1 一 般
工場で生産されるものには、その原価というものがある。この原価は経営畑の人によっては非常に重要なものであるが、生産に直接担当している設計や現場の人々には、ややもするとそれほど関心をもたない場合が多い。生産品の原価を知ることは経営上重要なことで、これによって利益や損益がわかり、販売価格が決定されます。造船所で働く人も原価計算の「しくみ」は基礎知識として勉強してほしい。
(1) 経営成績を正確につかむこと
原価計算を行うことによって、経営成績をを正確につかむことができる。経営成績とは『どれだけ儲けたか』ということで、これは次の式で表わせます。

(a) 売上高は売上を集計すれば簡単に求められる。
(b) 売上原価は原価計算をキチンと行わなければ正確に求められない。
(c) 売上総利益は、(a)−(b)=(c)だから売上総利益を正確に求めるためには原価計算が必要なことがわかる。
経営成績は(損益計算書)によって正確に求められる。損益計算書については、損益分岐点の項を参照されたい。
(2) 財政状態を正確につかむこと
財政状態とは『財産をいくら持っている』ということである。この財産の中で大きな役割を持っているのが製品です。製品という財産は、その製品(造船の場合は船の原価)を正確に計算することによって求められますから、ここでも原価計算の必要なことがわかる。
2.1.2 原価とは何か
原価計算の必要なことは前項でわかったと思うので原価計算の必要な基礎地域について述べてみよう。まず「原価」という語句の意味をつかむことである。製品(船)を建造するためには、いろいろな費用がかかる。銅材、木材などの材料費はもちろん、建造に従事する皆さん方の賃金(これを労務費という)や、電力料などの経費もかかる。せまい意味の原価とは、建造にかかった費用のことでこれを製造原価と呼ぶ。ひろい意味の原価とは製造原価に宮業経費を加えたものでこれを総原価と呼んでいる。
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