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先に述べたように、普通の軟鋼では熱影響部の硬度が大きいと、ビードの下割れだとかトウクラックの原因となる。この硬度は540℃を通過するときの冷却速度によって決まるといわれているから、もし、この種のワレの欠陥が起きるときには、予熱をしたり、後熱をしたりして540℃を通過するときの冷却速度をゆるやかにすることも割れの防止に効果的である。

第4・4図において、溶着金属部の境界をボンドと呼ぶが、このボンドから変色しているところまでを熱影響部という。この熱影響部は、溶接のアーク熱によって温度が723℃以上に上り、冷却を受けた部分であり、一種の焼き入れ現象を起こしており、硬度が上っている。

第4・5図は、普通の軟鋼ではなく、高張力鋼(HT52)の溶接ビード付近の硬度分布図であり、熱影響部は、母材よりも数段高い硬度となっている。

熱影響部より外ではA1変態点723℃以上に熱せられることがなかったのであるから、組織上の変化はみとめられないが、衝撃値が低下していることが、実験の結果わかったのでこの部分を脆化領域と呼んでいる。脆化領域の範囲は普通溶接線から25mm〜50mm位はなれたところにあるが、第4・6図は、サブマージドアーク溶接を行った突き合わせ溶接について計測したものである。

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4.1.3 冷却速度に及ぼす要素

(1) 予熱、後熱

板厚が大きい程冷却速度は大である。

 

 

 

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