(2)船台基準線の位置出し
(3)盤木位置出しと盤木作業
船台準備作業はいわば、“縁の下の力持ち”のような地味な作業であるが、船型保持の基礎となるものであり、用意周到な事前検討を要する。
5.2.1 船体据付け位置
船台の限られた面積を、可能な限り有効に使用することと、進水時の潮高等の影響を考慮して決める。
○APの位置:満潮時でもAP付近の盤木作業が可能で、しかも進水できる範囲でAPの位置を水際に下げる方が良い。
○キールの高さと傾斜:船台上面からキール下面までの高さは、溶接、塗装、盤木等の船底作業ができる範囲で低い方が次の理由で良い。
(a)地震等に対して安全性がある。
(b)盤木相互間の収縮量及び作業量も少ない。
高さは900〜1000m/mが普通であり、キール傾斜も60/1000〜70/1000が標準である。これは進水計算の基礎となるものであり、船体据付け図を作成すると良い。
5.2.2 船台基準線
船台上で鋼船を建造する際、船型決め方の基準線は、船台上に置くのが普通である。船体据付け図より、船体中心線、バトックライン、AP.FPの位置、直角線を仕置出しして、船台上にマーキングする。各ラインは墨打ちすると同時に、基準板を設置、ポンチ打ちして、誰にでも分るように明確にしておく。基準板は盤木位置を避け、固定して何隻も使えるようにしておく。その例を第5.1図に示す。
5.2.3 盤木作業
盤木は船台上で建造される船体の重量を支える土台である。従って十分な強度、安定性、作業性を有するものでなければならない。
(1)盤木の種類と構造
盤木は配置する個所によって、三つに分けられる。キール盤木を配置しない場合や、船長方向に配置する場合がある。
○キール盤木 キールプレートの真下に配置する。
○側盤木 キールプレートとビルジ部の中間のガーター下に配置する。
○腹盤木(腹受け盤木) 玄側のビルジ部に配置する。
一般に使用されている普通の木製盤木の構造、材質及び寸法の例を示す。