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この補助の平行線を引いたら、展開は、この平行線だけに着目して行えばよい。即ち円周の長さは、平面図から実長が読みとれるから、1直線上に、そのそれぞれの区分点の位置を記し、その上に、設定した平行線の長さだけを引き出す。このあとで、始めて、もとの円周の展開に考え方をもどし、それぞれの点を、滑らかに結ぶようにすることで、展開図形がもとめられる。

 この手法は、ホースパイプの展開に対して、そっくりそのまま使用できる。即ち、ホースパイプは、正面線図や平面図に対して斜めに配置されているが、これを、切り直して、第2.1図のような位置に見えるように、方向をまわしてから、この平行線法を使うのである。

 また、内構材のストリンガー等の展開に際しては、この手法にて、展開図形を得られることが多いはずである。

 

2.3.2 放射線法

 この方法は第2.2図のような場合に用いられるもので、円錐とか、角錐のようなものに対して、完全な展開が得られる。この場合も先の平行線法と同じく、円周上を適当に区分して、その位置から、中心点Aに、線を結んだら、展開の最中は、円錐台であるということは意識しないで、AとE1、またはAと2のごとき、線分にのみ着目し、この部分をそれぞれ展開することを考えて、最後にG1Mにて切った各線分の交点を滑らかにむすぶことにより、円錐台の展開図形を得るものである。

 この手法を、船体の部分に確実に適用することは、あまり見受けられないが、例えば、ステムやファッション・プレート等に、1部円錐台に使うようなことも近似解としては可能である。

 

2.3.3 三角形法

 この手法は、造船の現図場で、一番多く用いられているもので、殆ど大部分の展開はこの方法で行われている。即ち、現図場にある”実長尺”或いは”実長表”というのがこれである。第2.3図

によって、説明しよう。今a図に、立面図と平面図が与えられているときに、この中で、実長がそのまま読みとれるのは、どれかと考えるときに、ABCDの四周とabcdの四周である。ところが、この図形を展開するには、斜辺の長さAa、Ab、Bc等を知らねばならない。勿論Aaと<BAaを知っても展開図形は描けるが、一般に角度を求めることは、誤差がでやすく、それを展開図形に移すことも不正確になるので、”3辺の長さを知って、三角形を決める”手法が普通使われる。

 この場合はcの展開図形にあるようにABの実長の上にB点を中心としてBbの実長を半径とする円弧を描き、一方A点を中心としてAbを半径とする円弧を描いて交点をbの展開上の点とする。aの展開上の点は、bを中心としてabを半径とする円弧と、Aを中心としてAaの実長を半径とする円弧の交点として定まる。このようにすれば、実長さえわかれば、

 

 

 

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