ブロック建造法の目的は、船台上の工事を減らすために、船体を幾つかのブロックに分割して、地上の組立定盤上で、溶接により先行組立しようとするものである。従って船殻工事の主体は船台よりも、むしろ組立工程であり、設備の主体は、クレーン、定理、溶接設備である。(各工程の工事量の比率は、加工15%、組立30〜40%、船台30〜40%、その他5〜10%である)
1.2.1ブロック建造法の利点
ブロック建造法には次のような利点がある。
(1)建造期間を短縮できて、生産量も増大する。
(2)船台占有期間が短く、設備を有益に稼動させ得る。
(3)溶接の大半を下向き姿勢に置き換えられる。
(4)工程と工作技術の管理が容易で密にできる。
(5)技能に応じた適切な人員配置ができる。
(6)高所、狭溢作業が減り、作業環境安全性が良い。
(7)パイプ、塗装等の先行儀装、青空儀装が可能である。
1.2.2 ブロック建造法の種類
ブロック建造法の種類には一般に次のものがある。
(1)層式建造法(第1.9図)
船底ブロックを船首尾まで搭載し、次に外板ブロックを船首尾まで搭載する。さらに上甲板ブロックを船首尾まで搭載する。
(2)箱型建造法(第1.10図)
船首尾方向よりも上方向への搭載速度が速く、船底、外板、上甲板の順序で区画ごとに搭載を進めてゆく方法。
(3)梯形式建造法(第1.11図)
上記(1)、(2)の中間的搭載方法で、初めは(1)で進み、次第に(2)に変わりながら常に梯形を保ち搭載を進めて行く方法。
(4)多点式建造法(第1.12図)
層式建造法において、ブロック搭載起点が2カ所以上あり、最後ははめ込み式搭載により結合する方法。造船所の諸条件によっても異なるが、小型船の場合、一般に層式建造法が採用されているようである。