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び向上を図り、もって輸出の健全な発達に役立てようというもので、従って、 輸出検査の基準は、船舶の構造、設備、性能等の品質に関して広い範囲が規定されている。なお、船舶の安全性に関する基準は、原則として安全法関係の諸規則の基準を準用している。

 検査基準は、船舶等の輸出検査の基準等を定める省令等に定められている。 以下これらに基づいて基準の概要を製造検査(設計の検査及び製造中の検査)及び 完成検査の順で説明する。

4.1 製造検査

4.1.1 設計の検査

 設計は、船舶の建造工程の第1歩であり、この良否は、その後の現図、ケガキ、 鋼材加工組立、船台、騰装等の工事に大きな影響をおよぼし、設計の出来、不出来によって船舶の品質の良否が決定されるといっても過言ではない。現場の技術がいくら優秀であっても、設計が安全性、堪航性、居住性等について十分に検討されたものでなければ、でき上った船は、結果として質の悪いものとなってしまう。また、設計図面は、その造船所の実情に合ったものでなければ、図面に基づいて行われる工事に おいて、必要以上の工数を賞し、さらには品質の低下をきたすことになる。従って、工事着手前に設計を検討することは、非常に重要なことになる。

 輸出検査においても工事の着手前に設計の検査を行うことになっている。提出された契約書写、製造仕様書及び設計図面に基づいて、主として、下記の事項について検査を行い、これらが 基準に適合している場合は、承認をして申請者に返却される。

○ 主要寸法、出力及び速力

 速力は、船舶の性能を決定する最重要の要素であり、一般に海上試運転における速力は、造船所が契約書で保証することとなっている。実際の速力が契約速力と 異なる場合は、造船所は罰金(ペナルティー)を支払わなければならず、損害を こうむることになる。従って、計画の段階で主要寸法、主機関の出力及び速力の 関係を十分に検討し、所要馬力を正確に推定しておくことが重要である。大型船の場合は、一定の速力をだすために必要な主機関の出力は模型による 水槽試験で推定することが多いが、小型船については、馬力推定用のチャート、 類似船(タイフシップ)め資料を参考にして推定するのが普通である。

○ 復原性

 復原性は、船舶の安全性にとって最も重要な性能で、主要寸法、構造等と 航行区域、貨物の種類、重量等との関係を復原性の面から十分に検討しなければ ならない。特に、旅客船については、人命の安全の見地から厳しくチェックする 必要があり、原則として、船舶復原性規則の基準を準用することになっている。

○ 喫水及びトリム

 

 

 

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