れるのは必然的なことであった。しかしながら、造船技術の進歩と変革が、まず船殻の建造方式に大幅な合理化を採用した現在では、艤装のみが従来の方式にとどまっては色々と問題点がある。
(a)工事短縮の問題
船殻工事合理化の目的の一つは、建造工期の短縮である。これは必然的に艤装工期の短縮につながり、船主の利益となるのみならず、建造費の低減と利益の増大をもたらす大きな道である。
(b)建造費低減の問題
艤装工事の工期短縮が、直接建造費の低減につながるものであるが、このため採用された新方式としてのユニット艤装、地上艤装、ブロック艤装等における艤装工事によって良好な作業環境が得られ、自由な姿勢で作業が行われ、作業の確認が容易にできる等、艤装工事の減少を生み、建造費低減の重要な要素となる。
従来のように船殻工事が終了してから艤装工事を開始すれば上記の利点の大半は失われ建造費低減は達成できないであろう。
(C)品質、性質の問題
船舶の艤装の性能品質について、個々の金物、装置を形成する各部分の性能、品質が確保されてこそ、始めて全艤装が高く評価される。この品質、性能を維持し、あるいは向上させるためには作業環境の改善・施工した作業の点検確認の容易さ等が条件となる。従来の艤装方式の場合、艤装品搬入の困難、狭隘な作業場所、無理な作業姿勢、作業の確認点検の困難等が艤装の品質、性能の向上を阻害することが多い。
(d)安全に関する問題
鋼船建造の労働条件に関しては、今後共ますますその改善の要求が激しくなり、かっ造船業における労働力の減少、賃金の上昇と相まって鋼船の艤装工事を施工するに当っては、作業員の安全に関して、十分な配慮をしなければならない。
この点に関しても従来の方式を採用するならば、狭隘な区画での作業、高所での作業等がいぜんとして減少しないためで、爆発、墜落等の災害の原因除去が困難である。
このような安全の観点からも艤装工事を合理化した新しい方式の採用が望ましい。