(4)先行艤装の得失
(a)重量
従来系統図だけで現場施工をしていたような工事については、あらかじめ図面の上で十分に検討されたものが施工されるから、重量も減少する傾向にあるが、一方船殻との取合いの関係で船殼重量が多少増加するものもある。
(b)工数
艤装の現場工数は、大きく減少する利点がある。しかし、設計工数は、非常に多くなる傾向にあるし、また出図時期にも影響することも考えられるので、この点は十分検討の上実施すべきであろう。
(c)工期
工事期間については、極めて大きく短縮される利点があるが、現場工事実施前の慎重な検討期間、設計期間が必要なことはいうまでもない。
(5)今後の課題
一般に船殼の建造期間は急速に短縮されたが、艤装工事については特に小型の船では、まだ先行艤装の利点が十分認識されていないので、艤装の工数と時間が多くかかるのが通例である。
(a)いかにしたら艤装が安くなるかを、設計と現場との間で十分検討すること。
(b)艤装には船主や乗組員の意見が相当に入り、一船ごとに異なったものになる傾向があり、このことは重量、原価に大きく響くことを考慮すること。
(C)船員の考え方の改善も必要であると同時に、設計者、工作者の勉強も必要であること。
1.1.5 艤装設計の進め方
前述の種々の設計要素を考慮しながら具体的設計を進めることになる。まず最初にとりかかるのは、船の建造日程を把握し、いつまでにどのような図面を作成出図しなければならないかを検討し、設計としての日程を明確にする。
個々の設計図についてフローにしてみると、
のようになる。