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これで注目している部分に外から働く合力がゼロになり、釣り合いが取れることになる(補・40図(c))。もちろん、さらに任意の断面CDを考えても、ABCDの部分には釣り合いが取れていなければならない(補・40図(d))。このように、棒のどの部分をとっても、その部分の境界面を通して外から働く力は釣り合いの式を満足しなければならない。棒の任意の断面(断面積A)における単位面積当たりの力σを応力といい、次式で定義される。
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A:棒の任意の断面における断面積(mm

この応力は考える断面に垂直に作用しているから垂直応力と呼ばれる。また、単位長さ当たりの伸びεをひずみといい次式で定義される。

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2)応力・ひずみ線図

板状あるいは丸棒の標準試験片を材料試験機にかけて引張り、荷重と伸びを計測することにより、材料の力学的性質が求められる。試験片にかかる力Pの増加と共にそれが伸びてゆく有り様は、横軸にひずみ、縦軸に応力をとった応力・ひずみ線図で表される(補・41図)。応力とひずみは点Aまでは比例する。この範囲を弾性域という。この範囲では、荷重を取り去ると、もと来た道をたどり荷重ゼロで変形も消えて元の状態に帰る。点Aにおける応力σ。を降伏応力という。これ以上にさらに荷重を増すとひずみは急速に増加し両者の比例関係は成立しなくなる。点Cに至って棒は破断する。このときの応力σBを抗張力あるいは引張り強さという。降伏応力を越えた任意の点Bで荷重を取り去ると応力・ひずみ関係はもときた道を逆にたどらず、弾性域の直線に平行に下降し、荷重ゼロでB1に達する。B点におけるひずみεのうちB1B2に当たる弾性ひずみεeは回復し、OB1に当たる塑性ひずみεpは荷重を完全に取り去っても永久に残るひずみである。

 

 

 

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