

この場合の締付け釣合三角形は補・12図のようになり接手部合せ面が分離することによってボルト側にかかる繰返し力が大巾に増大することが分かる。連接棒大端ボルトがこのケースに該当する。すなわち補・13図のように連接棒大端部は内部にクランクピン軸受を内蔵し、ボルトを締付ける場合にはこの軸受にクラッシュを与えて締付けるためこの段階でボルト軸芯からずれた偏った荷重がかかる。また連接棒大端部側のボルト座面形状がボルト軸芯に対して左右非対称で有効座面面積が異なるため軸芯に対して左右の座側ばね常数も異なってくる。この様な状態で燃焼圧力と慣性力による合成変動荷重がボルト軸芯に対し大きな偏心荷重として加わるためにボルトの締付力が不適当な場合、大端部合せ面が開くなどしてボルトに曲げをともなった過大な繰り返し荷重がかかり大端部合せ面のフレッティング、ボルトの折損など大きなトラブルに発展する危険性が生じる。特に大端部が斜め割方式の連接棒の場合は更に左右ボルトにかかる変動荷重のかかり方が複雑になるのでボルトの締付力にバラ付きが生じない締付法で充分高い締付力を与えないと合せ面セレーションの歯の切損などのトラプルが発生する危険性が高い。
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