補足資料整備関連基礎事項
本項は、基礎的事項についてより高度な内容を補足したものである。
1. ボルトの締結
船舶機関の場合、部品の結合は殆どがねじによって行われていると言っても過言ではなく、連接棒大端部、主軸受、シリンダヘッドなど機関の主要部の締結は皆、ボルト締結によって行われている。したがって、この締付けの不適当によって引き起こされる事故も大きな事故に発展する危険性をたぶんに含んでいる。また実際に機関整備に基因する機関の事故の大部分が不適当なボルト締付けによって起こっておりそれによる経済的損失も大きいので本項で説明するボルトの締付けは保守整備上極めて重要な事項であるということができる。このボルトによるねじの締付けの基本事項は既に船舶機関整備指導書2の1,4に詳しく説明されているので、重複をさけるために基本的な事項についての説明は必要最小限にとどめ、主として現在行われているボルトの締結法とその問題点およびボルト締結の信頼性の向上のためには何が必要かについて説明する。
1.1ボルトによる締結
2個以上の部品をボルトによって締結する場合、補・1図のように3つの方法が一般にとられる。

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