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(2)過給機不良

a)タービンホイールの汚れ

タービンホイールやケース内にカーボンが付着堆積すると、排気ガスの熱エネルギーを十分吸収できなくなり、タービン効率が低下して回転数が減少し、充分なブースト圧力が得られなくなる。定期的にタービンホイールやケース内を清掃しなければならない。

b)コンプレッサホイールの汚れ

ホイールの表面やケース内面に汚れが付着すると効率が低下し、十分なブースト圧力が得られなくなる。従って定期的に清掃しなければならない。また少量の水を吸入させて清掃する場合は、必ず高速高負荷運転中に行なうようにしなければならない。

C)シールリングの不良

シールリング膠着や折損、カーボン付着などが起こると、回転摺動抵抗が増加して回転数が低下するのでブースト圧力が減少する。

d)メタル摩耗、焼付き

ロータの軸受メタルやスラストメタルなどが摩耗や焼付きを生ずると円滑に回転できなくなり、ホイールとケースの干渉、ロータ軸の曲がりなどの重大事故を誘発する。従って定期的に点検すると共に、異音などが発生した時は直ちに点検しなければならない。

e)ブレードの損傷と曲がり

タービンやコンプレッサホイールのブレードなどに損傷や曲がりを生じた場合は、効率が悪化して、ブースト圧力が低下すると共に、タービンの振動や異音が発生する。振動や異音などが生じた場合は直ちに運転を止めて点検しなければならない。

f)過給機故障による運転不能

振動発生やロータ回転不能などを生じた場合は、タービンホイール及び、コプレッサホイールなどが逆に抵抗となり、運転不能となる。従って無過給接手に取替えて、1/2以下の負荷回転で緊急航行し帰港しなければならない。これら過給機の故障を発生すると排気ガスは黒色となって、排出する。

9)空気冷却器の汚れ

過給機の故障ではないが空気冷却器の冷却フィンや冷却管内のスケール付着により、冷却効率が悪化すると、給気温度が高くなり空気の密度が低下して、酸素不足による不完全燃焼となり黒色排気ガスとなる。さらに排気温度も上昇し、熱負荷が大きくなり事故を生じ易くなるので、空気冷却器は定期的に清掃しなければならない。

 

 

 

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