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(3)オイル上がりが多い

シリンダライナ、ピストンリングなどが摩耗したりピストンがスカッフを起こしたり、ピストンリング折損や膠着などを起こすと、オイルコントロール不良となり、燃焼室内へ多量の潤滑油がライナ壁を伝って上がり、燃焼する。従って排気ガスが青色味を帯びたものとなる。減筒テストにより不良シリンダを探して修復しなければならない。これらの原因以外に、オイル上がりが増加する原因としては、潤滑油の油面アップ、オイルジェットの吐出圧力変化や方向狂いなどがあるので、その辺も合わせて点検修復しなければならない。

(4)過冷却

寒冷時においては気温水温ともに低く、運転中に冷却水温度が70℃以上にならないことがある。この様な場合は、主要運動部の熱膨張が不足し、摺動スキマが適正化せず、大きなスキマで運転されるため、オイル上がりやオイル下がりなどにより、潤滑油が燃焼室内で燃えて排気ガスが青白色化する。このような場合は、冷却水の温度が70℃以上になるように、サーモスタットを寒冷地向用に取替えたり、ヒートエクスチェンジャの海水量をバイパスしたり、絞るなどにより、冷却水温度を上げて運転しなければならない。

3)黒煙が出る

(1)酸素不足

噴射燃料が完全に燃焼するためには、噴射燃料に見合うだけの酸素、つまり空気が必要となる。空気中の酸素は標準状態で重量比23%程度である。

a)気温の上昇

空気の温度が上昇すると、空気は膨張し、その分だけ密度が低下するので、酸素量が減少する。通常の場合、機関室内の温度上昇は最高で45℃までが限度であり、それ以上の場合は、完全燃焼に必要とする酸素量が確保できなくなり、不完全燃焼となる。また給気温度が上昇すると、べース温度が上がるため、燃焼温度が上昇し、過大な熱負荷が加わることになる。燃焼温度は測定出来ないが、ヘッド出口の排気ガス温度は、室温が1℃上昇すると、通常約2.5℃上昇する。

b)エアクリーナの汚れ

エレメントの汚れによる目詰まり、オイルバス式のオイル入れ過ぎなどがあると、吸入抵抗が増加して空気量が減少する。従って酸素不足による不完全燃焼となり、出力が低下して黒色排気煙となる。エアクリーナのエレメントやプレクリーナのスポンジシートなどは定期的に清掃又は交換しなければならない。

 

 

 

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