日本財団 図書館


ライナの冷却水側に腐食を生ずる原因には、工場廃水などで汚染された港に停泊中、水中に含まれる腐食性成分のために生ずる酸化腐食もあるが、多くは異種金属どうし、または同種金属どうしでも状態が異なっていて、これらの間に水があるとき生ずる電気腐食である。
この電気腐食(電食)作用は、シリンダおよびライナの冷却面のみでなく、水中に浸されたプロペラと船体や水の管系などにも生ずる。
たとえば、銅と鉄のような異種金属どうしが、電流を通すことのできる海水中に接近しておかれて他部で接合している場合、液中では鉄から銅へ、外部では銅から鉄の方へ電流が流れて、鉄の活性部分が鉄イオンとなって、水中に溶け出し、水中の酸素と化合して水酸化物になる(3・1図)。
すなわち活性部分は局部陽極となり腐食する。また、3・2図のように同種金属の鉄どうしを海水中に浸した場合にも、2枚の鉄板に温度差があるとか、囲の水の流速が違っていたり、内部ひずみによる応力の有無または一方のみに気ほうが吹き付けられるとかなどで、状態が異なるときにも流電作用により陽極部が腐食する。要するに電気腐食は多数の局部電池が構成され、その電池の(十)から(一)へ電流を生じて陽極部が溶解することによって進行するものであるから、鉄部の局部陽極を陰極にして局部電池を解消することが大切である。
このような電食を防止するには次のように3つの方法がある。
063-1.gif


?防食亜鉛を使用する。
下の図のように外筒に取り付けたジャケット清掃用カバーなどに亜鉛板をボルト締めする。
063-2.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION