2. 子供の成長と環境教育
ウィスコンシン州では、子供の成長にあわせた環境教育を行うために次のような指針を示している。 ■ 各学年ごとの指針(Wisconsin Department of Public Instruction, 1994) ?@ 幼稚園から小学3年生まで 年令7〜8才までの子供達が、環境について知るのは直接の感覚的な知覚によってである。このレベルでは観察の経験を触ったり、見たり、聞いたり、臭いを嗅いだり、味をみたりしながら行うのが環境を理解するのに役立つ。しかし、観察の技能を養うには時間がかかるものであり、この年令では少なくとも2年間は必要である。この観察技能養成のプログラムの後半では、さらに他の技能、分類、順序付け、空間的な関係の理解などに応用できるし、さらにその次の段階では、測定や数量化、推論、予測、分析、解釈することなどにも役立てられるものである。 特にこの年令では、脳の多くの部分が成長するが、主として「注意のシステム」が発達し、知覚的能力や感覚の豊かな発達も起こり、左脳と右脳の各々の専門的機能の発達も加速されるので観察によってこれらがより良く実現できる。そして、環境への感受性を豊かにする主要な要素は自然の環境の中で直接経験することであることは多くの研究で明確にされている。 以上のことからも幼稚園児から小学3年生の期間では知覚的認識(Awareness)を高めることが主要な教育目標である。もう一つの主要な課題は環境倫理であり、この年令に応じた生き物の生命に関する大切さを徐々に教えるべきである。 ?A 小学3年生から6年生まで この年令グループは知識を理解する能力を持つようになってくる。 知識が深まるにつれて、自然、特に生き物の意味への理解が深まり、環境倫理の内容も豊かになり、かつ、レベルも高まっていく。それに応じて市民行動の技能もよりレベルの高い実践的なものになって、市民行動経験も初歩的なものが教えられるべきである。 ?B 中学1年生から3年生まで 11〜15才の期間では、脳の発達が続き、感覚器官はほとんど完成し、さらに意図的な計画的行動の能力も発達しはじめる。抽象的な概念の理解も少しずつ発達しはじめる。 そして、学習した感性と知識を基礎に、応用、分析、統合などの高度な知能を使い始める時期でもある。脳の発達の意図的なシステムの段階では、行動の計画を作成する能力が増大していくので、市民活動の技能の教育や市民活動参加の経験も強調されるべきである。
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