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図1−5.道路建設を原因とする分断による生態系の破壊

 

生物のすべての種は、あらゆる遺伝形質について、遺伝子の多様性を持っている。例えば、園芸植物において、同じ種類であっても花の時期が微妙に違ったり、花の色や花びらのサイズが違うなど、園芸種としての品種改良に欠かせない要素は、まさに遺伝子の多様性によるものである。
この遺伝子の多様性は、もともとは、生物が気候の変化などに対応する際に自然界でたいへん役立っているものである。一つの集団の中に、暖かい気候に強い個体、寒さに強い個体など、異なった遺伝的特徴の個体が混在していることによって、気候風土が変化しても、種としての分布地が消滅に追いやられる心配がなくなる。
ところが、自然を寸断してしまうと、集団の中には現在の気候風土に合った遺伝子資源しか生き残れない。ここでは、短い目で見た生物の保護には影響がないものの、自然保護を、もし500年、1000年、さらにはそれ以上を目指して進めていく上では、大変大きな障害になってしまう。気候が変わった時などに、多様な遺伝子を持っていない小さな集団の生物は対応ができずに死んでしまう率が高いのである。

 

(3)持続可能な社会へ向けた教育の推進
国際社会はすでに持続可能な社会に向けて大きく転換を図ろうとしており、日本も地球の一員として一定の責任を果たすため、環境問題の深刻さと緊急性を十分に認識して、個人の意志改革・行動改革と、社会の改革の両方を行っていく必要がある。個人の育成、そ

 

 

 

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