日本財団 図書館


 

(4)大気の破壊と生態系について
●地球温暖化
地球の温暖化は、地球に放出される温室効果ガスの濃度の上昇によって起こる現象である。温室効果ガスと呼ばれるものには、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、対流圏オゾン、フロンなどがあるが、これらは、熱として外へ出ていこうとしている赤外線を逃がさない性質を持っており、温室効果ガスの濃度が高くなると、温室のガラスのように地球上を覆って、内部にある大気を温めてしまう。人口の集中する都市部では、自動車が出す二酸化炭素が大幅に増加するため局所的に温暖化が起こる。気温上昇によって、大気汚染が進み、光化学スモッグが長期間、しかも広い範囲に広がることが予測される。また人工熱や地表がコンクリートで覆われ、水分の蒸発が妨げられていることで、都市の中心部では周辺部より気温が上昇する「ヒートアイランド」現象が起こっている。気温の上昇は水不足、塩水遡上の悪影響、健康、大気への影響、さらに農業の生産性の滅少など多岐にわたり人間の生活に直接的な影響をおよぼす。また、気温の上昇は自然生態系を移動、変化させることにもなる。温暖化の原因となる温室効果ガスのほとんどは、人間の活動によって排出されている。フロンは100%人為的なものであり、対流圏オゾンは工場や自動車などから排出される窒素酸化物や炭化水素が光化学反応を起こす結果発生するといわれている。また日本をはじめ東南アジアに多い水田から発生するメタンガスも問題になってきている。地球の温暖化も、人間の活動の結果起こる環境破壊の一つなのである。

 

(5)太陽エネルギーの破壊と生態系について
●オゾン層破壊
オゾンは酸素が紫外線を吸収してできる気体で、地球にあるオゾンのほとんどは、成層圏に層となって存在し、地球を覆っている。このオゾン層が、太陽から放出される短い波長の有害な紫外線を吸収し、地表に届く光を無害なものとしているため、地表は生物が生存できる環境として保たれているのである。ところが、1985年末、オゾン層に穴が空く「オゾンホール」が南極で観測され、世界中に強い衝撃を与えた。オゾン層破壊は、大気中へのフロンの大量放出が主な原因と考えられている。フロンは、冷蔵庫やカークーラーの冷房やスプレーなどの身近なところで使われているほか、電子回路など精密部品の洗浄剤としても多く使用されている。現在ではオゾン層が1%減少すると、紫外線が約2%増えるという関係性が明らかになっており、皮膚ガンや白内障になりやすくなるなどの健康障害の増加が懸念される。さらに、紫外線の増加は人間の免疫システムに重大な影響を及ぼし、ワクチンの効果を低下させ、それによって、感染性の疾病を増加させる可能性もある。また、海洋生態系や農作物に関しては、さまざまな生き物への被害を通じて生態系全体に影響することが懸念される。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION