断されたり、植物生産やある特定の食性段階の動物が少なくなったりすると、餌がなくなる高次消費者が、先に絶滅してしまう。そして、生態系の下位段階の動物個体数の調整役だった高次消費者がいなくなった生態系は、天敵のいなくなった特定の種が一時的に異常繁殖し、またその後一転して競合による餌不足で絶滅するなど、一挙にたいへん不安定な状態に陥り、崩壊への道をたどっていく。 図1-4. 生態系ピラミッド
(3)生態系の破壊が止まらない現在 我々人類の日々の生活は、自然の恵みによって支えられている。食物に限らず、衣服、住居、素材資源、エネルギー資源、医薬品やその他さまざまな原料に至るまで、我々は自然から恵みを受けずして、1日たりとも生きていくことはできない。地球が一つの生命系として持続する、ということを保証していくとすれば、地球環境の保全とは、とりもなおさず自然生態系の保護に他ならない。我々はその大切さを認識すると共に、問題解決への具体的な行動の道筋を見つけ、個人と社会の両方を改革していく必要がある。 日本においては、温暖な気候ゆえに、比較的多く周囲に緑が存在する。そうしたことから、自然があるのは何らかの不断の努力の成果としてあるわけではなく、いわば当たり前の存在と思えてしまう一面がある。「空気のように感じる」という言葉がよく使われるように、自然は人類が生まれたそのときからあり、1000年前にも、l00年前にも、1O年前に
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