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水辺の植物群落を探る?荒川中・下流域における河畔植生の組成・構造とその環境要因?

 事業名 生態系保護に関する調査及び教育実践
 団体名 埼玉県生態系保護協会 注目度注目度5


 

5-3. 河畔林の保全上の問題

本研究においてハンノキは閉鎖林冠下での前生稚樹更新は全く行なわずに、撹乱を利用した一斉更新を行なう樹種であることが明らかとなった。現在はダム建設などにより、洪水などの自然撹乱によりハンノキ林へ更新することは難しい状況にある。また、残存しているハンノキ林も、農業などにより水利用が進んだ現在では乾燥化を避けがたく、本研究で明らかになったようにエノキ・ムクノキなどの林分へ遷移することが予測される。このような現状をみると、ハンノキ林を保全するためには残存している発達したハンノキ林を保護区として囲い込むだけでは不十分である。水位を適切に管理して、現存するハンノキ林を林床植生も含めて保護するとともに、周囲でのハンノキ林の更新を積極的に促す必要がある。上記のようにハンノキ林は洪水のような自然撹乱でなくても、近くに親木さえあれば、造成地や放棄水田のような人為的撹乱立地でも開けた場所であれば更新は可能である。ハンノキ林の周囲に、開放水域やヨシ原などの湿性で開けた立地を形成して、ハンノキ林の更新を促し長いタイムスケールで動的に森林を維持することが重要である。
倉本ら(1992;1994;1995)は、ハンノキと同様に洪水などの撹乱によって形成される裸地にいち早く侵入・繁殖する先駆性の二年生草本であるカワラノギクの保全生物学的研究を長年行なっている。一連の研究結果から、彼はカワラノギクのように裸地を求めて移動する植物を保全するには現在良く残っている局所的な個体群(地域個体群;local population)だけでなく、一つの河川全体の地域個体群(メタ個体群)が維持されるように、種子供給源となる局所個体群が大きく分断化されないよう、局所個体群の分布地をネットワークすることが必要であると指摘している。冒頭に示した地図からも明らかなように、現在の荒川でのハンノキ林は著しく分断化され、かつ小面積化している。また森林の分断化・小面積化により、林床が明るくなることによって林縁生のカナムグラが林床に侵入し、本来の湿生なハンノキ林の林床植生が失われつつある。まとまった面積で林が残っている秋ヶ瀬公園内には場所によってチョウジソウやスゲ類、ハンゲショウなどの湿生の林床草本がまだ残っているが、分断化が進んだ糠田橋周辺などでは希少種を含んだ林床草本群落の変化が心配される。今後は放棄水田などの遊休地や公園等を利用し、残存している群落を拡大するとともに新たな群落を復元し、生育地間のネットワーク化を図ることが必要であろう。その際にはハンノキ林という特定の群落だけでなく、多様なハビタットを復元して様々な群落を同時に復元することが重要である。

 

 

 

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