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4−2−2.環境要因との対応
?@人為環境との対応
図2−11−1〜2−11−3に3地域の土地利用を建設省(1992年)が作成した植生図をもとに木本群落、ヨシ(Pharagmites communis)群落、ヨシ以外の草本群落、耕作地、その他の5タイプに分けて示す。表2−5に3地域での植生タイプの出現状況を示す。糠田橋周辺では耕作地や草本群落が多く、ヨシ原や木本群落はまとまった面積では残っておらず、植生の分断化が進んでいる。断片化された株分の多い糠田橋周辺ではハンノキーカナムグラ林分の割合が多いが、ハンノキーヨシ型の株分も見られた。樋詰橋周辺でもやはり耕作地としての土地利用率が高かった。また上記の篠田橋周辺に比べるとよりまとまった面積を持った木本群落が残っていることがわかる。このまとまった株分の面積の半分程度は放棄クワ畑で、その大部分でハンノキの一斉更新による8年ほどの林齢を持つ若齢林が成立していた。このハンノキ若齢林は林床でカナムグラが繁茂するため、ハンノキーカナムグラ型が多かった。この若齢林を囲むようにハンノキ−クサヨシ型の成熟林やエノキ−ジャノヒゲ型、クヌギ−ジャノヒゲ型の林分が出現していた。秋ヶ瀬公園周辺では河畔外分が保存されている秋ヶ瀬公園を中心にまとまった面積の木本群落が残っている。その周囲は耕作地としての利用率が低い代わりに、草本群落(秋ヶ瀬公園内では芝生がほとんど)やその他(舗装面、ゴルフ場、造成地など)としての土地利用が多かった。秋ヶ瀬公園内では、林冠層が主にクヌギやハンノキからなるクヌギ−ジャノヒゲ型の株分が多く見られ、その中にハンノキ−ヨシ型、ハンノキ−クサヨシ型、ハンノキ−カナムグラ型の外分がパッチ状に出現した。このようにまとまった面積の森林が残存している地域では、多様な群落タイプが出現することがわかる。

 

 

 

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