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また、「保証渡し」が恒常化してくると、伝統的な船荷証券の制度自体が崩れてくることになるので、その変革の必要性があるとの指摘が行われており、これが流通性書類のEDI化の最も大きなニ一ズであるともいわれている。

4.海上運送状の導入

(1)海上連送状の導入

「船荷証券の危機」問題への対処方策として、提案された施策の一つは、船荷証券に代えて海上運送状を使用することである。これは、権利証券ではない海上運送状を使用することによって、荷受人が船荷証券を提出しなくても、仕向地で運送品を受け取れるようにしようとするものである。

つまり、海上運送においても、航空貨物の運送状(Air Waybill)に類似した海上運送状(Sea Waybill)の導入が行われている。『Sea Waybill』のような非流通性の運送状(海上運送契約及び物品の受領又は船積を証する非流通性の証券で、運送人が証券上に表示された荷受人に物品を引き渡すことを約するもの)であれば、「船荷証券の危機」のような問題は起きないとするものである。

このようなことから、万国海法会(CMI:Comite Maritime International)では、「船荷証券の危機」への対処方策として、1990年の総会において、「海上運送状に関するCMI規則」の採択を行っている。

(2)海上運送状の問題点等

海上運送状の利用状況については、ICS(国際海運会議所)など船社関係による調査結果が公表されているが、ヨーロッパ/北米など特定の航路での利用を除き、必ずしも、その利用度が高いとはいえないような現状にある。

海上運送状利用の現状については、諸種の研究プロジェクトにおける調査・研究活動などを通じて、その分析が進められており、例えば、次のような問題点等の指摘が行われている。

?海上運送状の利用は、海外の現地法人など自社グループ内での取引に止まり、洋上転売が予想される商品の取引については、船荷証券に依存せざるを得ない。

?海上連送状は連送人による運送品の受取又は船積を証する非流通性の証券であり、船荷証券のように、運送品を担保として債権を保全することができない。

?海上連送状に関する関係者の認識が薄い(今後さらに、海上運送状の利用について普及・啓蒙が必要である。)。

5.船荷証券のEDI化とCMI規則の制定

(1)CMI規則の制定

船荷証券の危機への対処方策の一つとして、船荷証券のEDI化の検討が進められ、万

 

 

 

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