§1.日本武道の理想(和の武道)
日本武道は,殺傷の技術から出発しながら,現代においては「和合」とか「愛」とか「人間完成」の道として、その理想をそこにおいている。
そのゆえに,”神武不殺”すなわち”殺すなかれ、破るなかれ”で,相手を殺めたり,傷つけたりする世界から,相手を生かし合う世界へ転化し,技法も決してこちらから先制の攻撃をしないことに(あくまでも相手の出方にどう対処するかに)錬磨の主体をおき、武徳を積む。
特に徒手をたてまえとする合気道は,その体現が顕著である。
そうした理想を,身心を的にして、日常の稽古のなかで、具体的にしっかりと把握し感得していくことが、合気道に課せられた使命である。
”人と争わず,自然をそこなわず,力でのぞまず,対すれば相和す,宇宙と和合をめざす愛の武道”それが合気道である。
合気道が、日本ばかりでなく、世界各地にまで広まっているのは,合気道の根本精神に大きな共感を得ているからと申せましよう。
※合気律法
(1)合気は、和と統一で三界を結ぶべし。
(2)合気は、宇宙組織の歩みに神習い、真人養成の道を進むべし。
(3)合気は、気育,智育,徳育,体育,常識の涵養たるべし。
※武産合気
正勝(屈せぬこと)
吾勝(撓まぬこと)
勝速日(勝利光栄)
※合気道稽古上の三要素
(1)正しい心構え、姿勢(心直体正)
(2)正しい体さばき法(入身一足、円転の理)
(3)正しい技法(健全な心身と自然との一致)
△三角に入身して(入身一足)
○丸にさぼいて(円転の理)
□四角におさめる(修理固成)
※この三要素から、全ての技と心を統一帰納しているのが「合気」と呼ばれる原理である。
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