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する立地にみられ、常に流水の影響を強く受ける。ネコヤナギの枝は折れにくく、流水に抵抗力があり、群落内で一定の生活力を維持することができる。以上の低木群落の分布域は広く、北海道から九州まで各地に普通にみられる。これらの高木性および低木性のヤナギ群落はすべて、オノエヤナギクラスにまとめられている。

オノエヤナギクラス(河辺林)

コモチマンネングサータチヤナギオーダー
 イヌコリヤナギ群団
 イヌコリヤナギ群集(標徴種:イヌコリヤナギ分布:北海道〜九州)
 タチヤナギ群団
 タチヤナギ群集(標徴種:タチヤナギ分布:北海道〜九州)(図1)
 ジャヤナギーアカメヤナギ群集(標徴種:ジャヤナギ、アカメヤナギ、オオタチヤナギ、ヨシノヤナギ分布:東北南部一九州)
 エゾノキヌヤナギーオノエヤナギ群集(標徴種:エゾノキヌヤナギ分布:北海道)

ヤシャブシーコゴメヤナギオーダー
 シロヤナギーコゴメヤナギ群団
 コゴメヤナギ群集(標徴種:コゴメヤナギ分布:関東〜中部)
 シロヤナギ群集(標徴種:シロヤナギ分布:束北〜中部)
 ネコヤナギ群団ネコヤナギ群集(標徴種:ネコヤナギ分布:北海道〜九州)

オオバヤナギードロノキオーダー
 ドロノキ群団
 オオバヤナギードロノキ群集(標徴種:オオバヤナギ、ドロノキ分布:北海道〜中部)

2)河畔林

 堤防の造成が進んだ現在の河川にはきわめて稀であるが、かって河川によって形成された沖積地内や旧河道の後背地には、現在でも河畔林が残存している場合がある。とくに、北海道地方などの河川沿いには広い面積の河畔林や湿地林がみられる。地下水が高く、停滞水におおわれた低湿地には高木層を構成する木本植物は限られる。代表的な種にはハンノキがあり、優占林を形成する。植物社会学的にはオニスゲーハンノキ群集など、地域的にまとめられる8群集はヤチダモーハンノキ群団(ハンノキクラス)のもとにまとめられている。
 さらに、河辺林から陸域方向に向う低地には、地下水位の低下とともにヤチダモ、ハルニレなど

 

 

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