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第5章 新しい沿岸域の波浪予測手法の開発

 

5.1 予測手法開発の背景と方針

従来より気象庁を中心に計算されている波浪予測情報のうち沿岸域のものについては、次のような課題を持っていると考えられる。
?日本沿岸全域という非常に広い範囲を計算する必要があり、計算時間も限られているため、島や半島等によるしゃへい効果は考慮されているが、浅海域で水深が浅くなっていることによる波浪の変化が考慮されていういない。
?気象庁所管の実況波浪観測地点が全国で11ヶ所と少ないことなどから、波浪実況値による精度検証が必ずしも十分ではない。
これらの2点のうち?については、運輸省港湾局・港湾技術研究所は、沿岸域での波浪変形に関する技術研究について高い知見と計算プログラムおよび関連データを保有している。そこで運輸省港湾技術研究所の保有する波浪変形計算プログラムを波浪モデルに導入することによって、より高精度の沿岸域の波浪予測情報を提供できると一考えられる。
また?については、運輸省港湾技術研究所の「全国港湾海洋波浪情報網(NOWPHAS)」と予測システムを直結することにより、常に最新の波浪実況と予測情報を対比することができ、さらに最寄りの実況波浪値から既存の予測値を自動修正するモデルを導入することが考えられる。
そこでここでは、以下の観点からより高精度の波浪予測情報を提供する手法の開発を行う。
a. 運輸省港湾技術研究所の保有する波浪変形計算プログラムを用いて、予測地点の海岸地形、水深の影響や、防波堤による反射波の影響を考慮した波浪予測値の算定手法の開発。
b. 最寄りの波浪実況値から、既に提供されている波浪予測値をより実況値に合致するように自動修正する手法。

 

 

 

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