
第3章 波浪情報の提供内容の検討
3.1 要望の強い波浪情報の抽出
アンケート調査、及びヒアリング調査を行った結果から、波浪清報に対する要望をまとめると表3−1−1の様になる
一般的な要望として、一層の精度向上、局地的な清報の提供、情報の即時入手がある。一方で気象・波浪情報がもっと安価に入手できるようになることを希望している。
海洋工事関係や電力関係の建設所では屈折、回折等を考慮した高精度のポイント予測を希望している。造船関係では、スペクトル解析結果を簡単に入手できるよう希望している。海運関係やマリーナ関係では、実測データをタイムリーに入手できるようになることを希望している。
3.2 新たな波浪情報の解析方法の検討
現在、一般に提供されている波浪情報は有義波高、有義波周期等の代表波浪であり、複雑な波浪を1つの値で表現したものである。一方、第2章で示したヒアリング調査結果の中で、造船関係者からは短い2〜3秒の周期から数十秒の周期にわたる波浪エネルギーの状況をスペクトル情報で知りたいという要望があったり、苦小牧港の管理者からは船体の係留の安全管理の面から周期数十〜数百秒の長い周期の波浪の状況が欲しいという要望があった。
これらの要望に応えるために、前者に対しては波の方向スペクトル情報、後者に対しては長周期波のエネルギーの大きさを表すパラメータ(例えばmOLと呼ばれるパラメータ等)を計算して提供することが考えられる。
これらの要望は、今後新たな港湾が外海に面した海域に整備され長周期波の影響を受けやすくなることを考えると、ますます強くなってくることが考えられ、これらの情報を適切な方法で解析し、提供することが、必要になってくる。
3.3 新たな波浪情報の伝達方法の検討
第2章では、気象・波浪情報の入手の手段は、業種を問わず、電話、FAXが大部分を占めていた。その結果、入手した情報の分析を行う場合に、2〜3人が1〜2時間、場合によっては3時間以上も時間をかけている実態が分かった。また、情報を周知する場合にも電話・FAXが中心で、1時間未満ではあるが時間をかけている実態が分かった。
データを即時に入手できるという点、入手した情報を特定の分析にかけるという点、さらに別の箇所へ周知するという点で、情報伝達方法はコンピュータによるオンラインデータ配信が特に有効であると考えられる。
オンラインデータ配信には、ユーザーが必要に応じて必要な情報のみを自ら取得する方法と、提供する側が定時又は随時情報を配信する方法がある。
波浪実況情報は、公共性が高い割りに未だ一般に公開されていない。そこで、パソコン通信等に公開し、広く一般のユーザーがこれを利用して必要に応じてデータを入手できる。
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