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第1章 総論

 

1.1 研究開発の背景と目的

平成7年4月に当センターの中に波浪情報センター(波浪情報部)が新たに組織された。
この波浪情報センターでは、運輸省港湾局およびその関連機関の相互協力によって、港湾の計画・設計・建設に資する目的で構築運営されている全国港湾海洋波浪情報網(ナウファス)の波浪観測データをオンラインリアルタイム情報として受信する一方で、(財)気象業務支援センターを通じて、気象庁が保有する気象や波浪に関する数値予報資料や波浪実況情報をもオンラインリアルタイム情報として受信し、沿岸開発や港湾・海岸工事の安全管理、海洋レジャー活動の事故防止等のために利用することが可能となった。
従来波浪に関する情報はその観測施設を所有する以外の組織に提供されることは少なく、ましてオンラインリアルタイム情報として公開されることは全く無かったが、このような情報公開によって、全国港湾海洋波浪情報網(ナウファス)波浪観測データは、その本来目的である円滑な港湾工事の実施に加えて、港湾の管理や運営、船舶の安全な航行や係留、沿岸の防災、などの分野にも幅広く活用されることが期待される。
本事業はこのような期待と要望に応えるために、波浪情報の沿岸域や港湾域での利用の現状と課題や二一ズをアンケートや現地ヒヤリングによってまとめると共に、これらの波浪実況値を取り込んで既に出されている波浪予測情報にフィードバックさせ、より精度の高い波浪予測情報を提供するシステムはどうあるべきかを検討したものである。

 

1.2 研究開発の概要

この研究は平成8年度の単年度で実施したものであり、その概要を以下に述べる。
1)波浪情報の利用の実態と課題に関するアンケート、ヒヤリング調査現在港湾の工事管理や運用、船舶の安全な航行や係留、沿岸防災などの業務に従事している現場に対してアンケート調査およびヒヤリング調査を行い、波浪情報の入手や利用の実態および各現場で認識されている波浪情報の現状に関する課題や要望について情報を収集し整理した。対象とした現場は以下の通りである。
a.港湾工事:運輸省、港湾管理者、建設会社
b.港湾管理:港湾管理者、海運会社
c.船舶の安全な航行や係留:造船、海運会社、マリーナ
d.沿岸防災:地方自治体
2)波浪実況情報の提供内容の検討

 

 

 

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