I.
今回のご親切なお招きに対し、世界平和研究所及びコンラート・アデナウアー財団に感謝の意を表する。専門に通じた皆様の前でお話しする機会を得て嬉しく思う。
日本はドイツで強い好感を持って見られており、尊敬され、またとりわけ非常に関心の高い国である。これには貴国が古くからの偉大な文化を体現されていることも大きな理由となっている。両国を結び付けているのは長年にわたる友好関係であり、それは最近の数十年間にも一層拡大されてきた。ここで昨年5月に合意された日独パートナーシップが思い起こされる。
両国はまた、数多くの類似性によっても結び付けられており、この点についてはディークマン大使も最近、デュッセルドルフ工業倶楽部での講演で指摘されているところである。例えば、世界経済のグローバル化は日独に同じ課題を課している。この課題を克服するには、両国がコンセンサス社会であるという重要な構造的特長に着目する必要がある。そして、世界第2、第3の経済大国である日独が、目前の問題にどのような回答を出すか、世界の至るところで注目されている。これは両国が大きな責任を担っていることを意味する。指導的な先進工業国として、我々は世界経済に対して特別の責任を有しており、また、開発援助を担当する政治家として特に強調したい点だが、貧困、低開発、環境保護、麻薬、エイズなどのグローバルな課題に対しても同様の責任を担っている。私が開発援助に携わる政治家であるところから、開発援助の問題を中心にお話しすることをご理解頂きたい。
II.
グローバリズムと相互依存は、現在の我々の世界秩序の主たる構造的特長である。そして、これらの変化が開発援助に影響を及ぼすという事実も変えることができない。
世界各地の発展はこれまでにないほど互いに密接に関連しあっている。アマゾンでは熱帯雨林が消減し、そして地球の気侯に変動が起きている。また、世界の40カ所以上で戦乱が繰り広げられ、そして数百万の人々が難民となっている。さらに、貧困と飢餓が途上国の数百万の人々を脅かし、そして人口の移動が起きている、国内企業が国際的コンツェルンになり、そして至るところで労働市場、コスト安の生産拠点を巡って競争が激化してい