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?T.バス交通の現況と問題点

 

ここでは、地域公共交通面および事業面よりバス交通の現況を捉えるとともに、危倶される事項とも言うべき問題点を抽出する。

 

1.地域公共交通とバス交通の現状

 

日常の生活を支える交通手段は、徒歩・自転車や自家用の二輪・四輪自動車等の私的要素が強い交通手段と不特定多数を対象とした公共性を有する交通手段とに大別することができる。
公共交通手段には、バス、鉄道、タクシー、船舶、航空機等があり、この中で日常的かつ身近に利用できる交通手段の主たるものとして、バス、鉄道、タクシーがあげられる。この他、離島などでは船舶も重要な交通手段といえるが、一般的に前掲の3つの交通手段が地域公共交通と称され、わが国の地域形成にも大きく影響・寄与してきたといえる。
また、近年のモータリゼーションの進展は、わが国の社会・経済構造に多大な影響を及ぼしてきている反面、地域公共交通にあっては停滞傾向を余儀なくされるというような問題も顕在化させてきている。
一方、こうした地域公共交通の中で、全国に路線網が伸び、地域への密着性も比較的高いポジションにあるといえるバス交通は、生活の最も身近な交通手段として重要な役割を果たしてきた。
しかし、モータリゼーションの台頭は、交通渋滞の誘発など道路交通環境に悪影響を及ぼしており、同じ道路空間で運行するバス交通にもその影響は大きく及んでいる状況にある。

 

1)交通手段の実状

 

徒歩、二輪車、バス、鉄道およびマイカーを含む自動車の区分による移動に際しての利用交通手段分担率をみると、全国平均では平日・休日ともに自動車利用のウエイトが50%程度と最も高く、そのシェアは拡大している、逆にバスは3%程度と最も低く、シェアは縮小という状況を示している。
また、3大都市圏および地方都市別に利用率の変化をみると、前者では鉄道が拡大し、バスは横ばいの状況を示しているが、後者ではバスが縮小している。とくに地方都市においては自動車の利用率が50%以上に拡大している反面、公共交通の利用率は10%にも満たず低い状況を示している。

 

図?T−1 移動に際しての地域別交通手段別利用率の変化(昭和62年・平成4年)

 

 

 

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