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ミュレータにおける潮流場に用いた。

 

(2)航行環境の総合的評価
航行環境の評価は上述したように船、人、環境を航行システムの視点で行う必要がある。航行環境のうち、交通環境は不確定な要素が多く、事前予測が困難で、その場へ行かなければわからないケースがあり、変動も大きい。一方、自船の操縦性能や航行海域の地形、気象・海象条件は交通環境に比べると確定的であり、事前に知ることができる場合が多い。したがって次の2項目に分けて評価することが必要になる。

 

?自然環境(潮流、地形)による負担と操船能力(人間、船)
?交通環境(交通量、交通パターン)による負担と操船能力(人間、船)

 

対象海域が来島海峡の場合は水道別の一方通航が原則なので、中水道、西水道および南流、北流を組み合わせた4種の自然環境の下で北航または南航する場合の8ケースの航行状況が想定できる。これらの航行状況の違いを判断できる評価が必要になる。
これまでも航行環境を評価するために多くの指標が提案されているので、まず体系的に整理し、さらに、このような来島海峡の航行特性を評価するために、第?編3章から6章までに詳述したように操船特性と交通特性を評価する指標を作成した。

 

1)強潮流下の操船の評価指標(操船要素評価)
船の大きさ、速力、操縦性、操船者特性などの影響評価するために
(a)潮流が与える操船への影響評価指標(略称:操船影響)
環境ストレス値、SNS値など
(b)潮流が与える操縦への影響評価指標(略称:操縦影響)
操縦特性(操舵量、偏位量、変速量など)
(C)潮流が与える測位への影響評価指標(略称:測位影響)
横偏位誤差量

 

2)交通環境の評価指標(交通評価)
航法の変更で航路特性に期待できる改善効果の評価(略称:交通影響)
避航空間閉塞度、操船困難度など。

 

?の自然環境(潮流、地形)による負担と操船能力(人間、船)の評価は与えられた航行状況における操船結果をもとに操船影響、操縦影響、測位影響、交通影響は独立ではなくフィードバック関係にあって相互に関係しているので、どれか一つの評価指標が閾値を下回ると危険な状況が予測される。たとえば、測位の精度が悪くなると操縦量が大きくなり、操船者にストレスが加わり、乗揚げの危険が高くなる。すなわち、図?−7−1のように3種の影響項目の出力はそれぞれ他の項目に対して入力項目となっている。

 

 

 

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