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比較したものであり、下図?−6−25は、航過した各船舶毎の最大値のみを抽出して比較したものである。
操船者が感じる負担は、ある航行区間を押し並べた平均的な値と、最も危険な遭遇状況の何れに印象深く関連付けられるかについては、負担感が継続する時間等とも関わりを持つものと推定されることから、未だ議論あるいは検討を要する余地はあるが、最大値で比較した場合、右側通航時には、負担を感じ始める推定困難度5以下の出現頻度は低くなり、特に困難と思われる推定困難度7以上の発生も抑制され、交通環境の改善効果を伺うことができる。
一方、図?−6−26および図?−6−27は、来島航路西口付近海域における推定困難度の出現頻度比較図であるが、東口付近海域と同様に改善の方向にあるものの、それ程、顕著ではない。
また、図?−6−28および図?−6−29は、来島航路東口付近および西口付近の評価対象海域を250m四方のメッシュに区切り、各メッシュの推定困難度の平均値を算出したのち、各メッシュにおける左側通航時に対する右側通航時の増減比率を示したものである(各メッシュ内のサンプル数が10以下である場合は、増減比較を行っていない)。○印は減少、すなわち改善方向にあることを示し、□印は増加、すなわち交通環境が悪化方向にあることを示している。
東口付近では、特に航路出入り口東方においての改善効果が顕著であるが、航路内においては悪化する区域が見受けられる。これらは右側通航時に、同航の船舶が集中することに起因すると考えられる。
また、西口付近では、左側通航時に東航船および西航船が競合する航路南端に沿って改善効果を見ることができるが、北方海域では悪化している。これは、海上交通流シミュレーションにおける航行経路帯の設定でも述べたとおり、鼻栗瀬戸方面や斎島北方あるいは南方を起終点とする船舶が、航行経路の複雑な交差を形成していることが一因であり、来島海峡航路における航法の検討に加え、別の観点からの検討の必要性を示唆するものと考えられる。
図?−6−30から図?−6−41は、評価対象海域を航過した各船舶の推定困難度が最大となった地点をプロットしたものである。(図中の○印の大きさは、当該船舶の大きさに比例させている。)
図?−6−30および図?−6−31は、東口付近海域において、航適中の最大推定困難度が5以上、すなわち、操船者が困難と感じ始める数値以上となった地点のプロット図であるが、右側通航時には航路東方における困難な交通環境の発生頻度は激減しており、改善効果が期待できよう。
航路内においても困難と思われる状況は生起してるが、図?−6−35に見られるように、推定困難度が6を超えるような事例の発生は極めて少ない。
しかしながら、推定困難度の中核をなす避航空間閉塞度は、前述のとおり衝突危険が顕在しない同航の場合でも、自由度が阻害され、衝突の危険が潜在するものとして評価するため、多数の同航船舶が形成する交通環境において過大な負担として出力・評価す

 

 

 

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