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P(Xi,j)は操船手段Xi,jの望ましさを表している。
すなわち{ }内は前述した(1)および(2)の作業に相当し、第2項の除算は衝突等の危険が全くない状況との比を取ることにより、(3)の正規化を図っていることに対応する。

 

(2)衝突と乗揚げの危険算定モデル
操船者が感じる衝突の危険の大小は、相手船との距離や方位およびそれぞれの変化率などによって判定されるが、避航行動の最終的な目標は所要の航過距離の確保にあると言える。操船者が期待する航過距離は、船舶の大小や速力、見合い関係などに応じて異なるが、図?−6−19に示すような排他的な領域が自船の周囲に形成されているものと看做せる。

 

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図?−6−19 衝突危険度算定モデル

 

図中、楕円形状で示したこの領域の長径と短径あるいは、船首尾方向と左右方向それぞれへの重み付けは、種々の調査研究成果をふまえ、自船および他船の全長、速力、針路等の関数として定義した。
この航過距離が確保できない場合には、操船者に心理的な負担が生じるものと考えられ、侵害の程度をもって衝突危険度を表す。侵害の程度と操船者の心理的負担との関係は未だ明確ではないが、ここでは直線的に増加するものと仮定する。また同図に示したように船首尾方向と正横方向のいずれにおいても侵害の恐れがある場合には、高い数値を採用する。さらには、最接近までの時間余裕に応じた重み付けも行ったり、衝突に至る前に変針が期待(予定)される場合には危険度を算定しない等の処理を施して衝突危険度は決定される。
一方、陸岸への接近乗揚げの危険については、自船の船型や速力に応じた長さの杖(図?−6−20中のPS:前方の余裕距離)が、可航水域を近似した線分と抵触する度合(PSとPGの比率)で評価し、最終的には先に述べた(複数の)他船との衝突危険度とも比較し、一つの操船手段の危険度として最大の値が採択される。

 

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図?−6−20 乗揚げ危険算定モデル

 

 

 

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