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図?−6−18避航操船空間のモデル

 

(1)心理的な負担を投影するための避航操船空間と閉塞度
操船者がなすべきことは、安全で効率(経済)的な針路と速力の決定であるが、実務上の判断精度や操作の単位を考慮すれば、ある程度の離散的な変針と変速の組み合せの集合としてモデル化できる。横軸を針路、縦軸を速力とする座標上に、離散的に操船手段Xi,jを配置したモデルを図?−6−18に示した。

 

この空間の範囲と変針および変速の幅の設定は評価結果に大きく関るものと思われるが、一般的な避航操船手段の大半を含むよう、変針については左右40度まで5度毎に、変速については20%の増速から停止まで20%毎に区切り、試算することとした。
針路および速力の保持をも含むこれらの操船手段の中から、時々刻々変化する周囲の状況に応じ、適切な手段を選択する作業を操船者は繰り返しているが、この内面での意志決定過程における負担を表すための尺度としては、

 

1)いずれの操船手段においても他船との衝突や乗揚げの危険が高い場合には、自船の周囲の交通環境は困難な状況にあり、操船者を圧迫すると考えられること。
2)ただし、基本(現在の)針路・速力を保持する場合に危険が存在する状況と、大幅な変針・変速等の極端な操船手段を選択した場合に危険が存在する状況では意味合いが異なり、より望ましい(好ましい)操船手段に危険が高いほど負担も大きいこと。
3)加えて、評価値としては単位や範囲等の設定に関らず、正規化された数値(例えば0〜1や100点満点等)であることが望ましいこと。

 

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を考慮し、心理(内面)的な負担を評価するための指標である避航空間閉塞度(BC)を次のように定義する。
上式中、R(Xi,j)は操船手段Xi,jに対する衝突および乗り上げの危険度を、
また、Maxは見合い関係にあるp隻の他船の中で最も高い危険度を採択することを、

 

 

 

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