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5.3 横偏位検出と潮流の影響

 

(1)航進目標による横偏位の検出
来島海峡を航行するときに航進目標が設定されているが、航進目標として遠方の目標も利用されており、こうした遠方の目標による横偏位量検出には少々問題のあることが判明した。しかし来島海峡大橋が完成すれば、この橋を航進目標として利用することができ、これにより横偏位検出精度が向上することもわかった。

 

(2)潮流の影響
来島海峡を南流の最強時に航行すると、西水道や中水道にアプローチするまでに航路に対して左方向に流れる潮流の影響を受ける。このため航路上を航行するには少し右に向首する必要があり、航進あるいは船尾目標を船首方向あるいは船尾方向に見ることができない。このため横偏位を検出するにはそれぞれの目標の方位を測ることが必要になる。

 

(3)潮流の影響に対する対策
目標の方位による位置の線を使って自船の横偏位を検出しようとすると、方位測定誤差に基づく横偏位誤差の影響があり、その分だけ検出精度は落ちる。こうしたことから潮流の影響を受ける海域では自船の横偏位を検出するために次のような工夫が必要である。

 

?航路前方にトランジット目標があればこれを航進目標として使用する。このトランジットは陸上にその基準を持っ位置の線であることから、自船の船首方向がトランジットと一致しなくても、2つの目標が見通し線上に並んでいる限り、自船はトランジットによる位置の線の上にある。
?目標の方位位置の線を使用する場合、測定間隔が長くなるほど潮流による横偏位量は大きくなるから、頻繁にその目標の方位を測定する。
?目標の方位位置の線を使用する場合、目標が遠くなるほど自船の横偏位検出精度は悪くなるので、できるだけ近い目標を航進目標として設定する。

 

 

 

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