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最大値は7.06cm、最小値は7.02cmで、標準偏差は0,396cmである。図?−4−25には距離の測定値の頻度分布から求めた確率密度関数を、正規分布による近似と比較する。この図を見る限りではほぼ正規分布に近いようであるが、他の多くのデータを調べると、必ずしも簡単にそうとは言えないようである。
(2)RTKが作動する条件
RTK作動時には高精度が得られるが、全ての条件下で可能になる訳ではない。応用を考える場合、どのような衛星条件までRTKでの計測が可能がは重要な指標となる。図?−4−26には利用可能な衛星数別のRTK作動の確率を示しているが、7個捕捉できればほぼ完全に、5個以上では90%以上、RTKが利用できることを示している。4個の場合、約50%の作動が見込まれる。また、衛星が7個以上捕捉できた時間は全観測時間の約69%、捕捉個数の平均は6.9個であった。5から6個の衛星の場合にどのような配置でRTKの利用が可能になるかは実用上重要と考えられるので、検討中であるが、結論を得るには、もう少し長期の観測データが必要になりそうである。RTKが作動しない場合の精度については、本来はDGPSの精度が確保されると考えられたが、今回の計測では予想に反して単独測位に匹敵する相当に大きな誤差が生じている場合があり、今後の検討課題となる。
今回の観測は移動局を固定して観測した場合について報告したが、移動局が文字どおり既知の運動をする場合について、今後検討し、位置認識に対する運動の影響を把握したい。

 

4.3.2 こじま船上での精度検定試験

 

実際にRTK方式で船位の計測を行うには、地上の基準局から船上の移動局へ計測データの転送が必要になる。このデータ転送にはいずれにせよ無線送信を行うことになるが、電波規制の関係で手段が限られることになり、実際上、利用可能な特定小電力の無線通信機でどの程度まで海上でデータ転送が可能かを確認する必要がある。この確認も兼ねて、練習船こじまに移動局を搭載し、呉から広島に移動中のこじまの船位を計測し、精度検定を行うとともに、複数の移動局を組み合わせることによって船首方位、回頭角速度等の運動検出の可能性、その精度を調査した。
基準局は呉から広島までの間で特定小電力の通信装置で通信可能にするために、図?−4−27に示すように、付近の猪山の山上に設置した。図中の座標軸の原点が基準局の位置である。また、船上には図?−4−28のように、操縦室上と船首尾のそれぞれに計3つの移動局を設けて計測した。同時に、ジャイロセンサーも設置して回頭角速皮の計測も行った。
計測の方式としては時々刻々の基準局データの転送を受けて行うRTK−GPSの他に、データ転送は行わずにそれぞれに計測データを蓄積しておいて後でオフラインでキネマティック方式で船位を求めるK−GPSを採用した。これは、もしRTKの電波が途切れた場合にもデータを取得し、後の運動等の解析に利用できるようにするためである。
まず、地上からのデータ転送については途中に障害物がない場合には7から10km程度は十分にデータ転送可能との結果が得られ、操縦性能試験や来島海峡での計測に十分に利

 

 

 

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