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4. 潮流が操縦に与える影響評価の指標

 

4.1 追越し、被追越し状態の特性

 

4.1.1 はじめに

 

来島海峡は複雑な地形や強潮流といった厳しい自然条件の下での航行を強いられている。さらに多数の船が輻輳して航行する交通環境下においては、近接して航行する場合もあり、自然環境条件に加えて船体相互の影響も受けることになる。このような環境下における航行の安全性を確保するためには、船の運動に及ぼす自然環境条件を総合的に検討する必要がある。
そこで本節では、来島海峡通航時の航行の安全性を評価するための指標を求めることを目的として、2船が近接して航行する時の各々の船の運動特性をシミュレーション計算によって検討する。すなわち、来島海峡の西水道および中水道について、最も強い潮流時における追越し鉛および被追越し船の運動特性を調べる。計算対象船型としては、追越し船は船長175mのコンテナ船型とし、被追越し船としては500GT程度の船を想定して、船長48mの追越し船と相似な船型を選んだ。

 

4.1.2 船体相互間の干渉力

 

2隻の船が近接して航行する場合、近接して航行する船の船体には相互干渉力が作用することが知られている。ここでは、このような船体相互間の干渉力の理論的な推定を行った結果を示す。
図?−4−1に示す座標系の下で、船体に作用する相互干渉力の推定を行った。ここで、被追越し船をShip1、追越し船をShip2とし、各船の船速をそれぞれU1、U2とする。O−xyは空間固定座標系であり、O1−x1y1およびO2−x2y2はそれぞれShip1,Ship2の船体中心線上に固定した座標系である。Sp1、Sp2は空間固定座標系のx軸とShip1およびShip2の船体中心線との側方距離であり、Spl2は追越し船と被追越し船との側方距離である。また、St1、St2は空間固定座標系のy軸とShip1およびShip2の重心間の船長方向距離であり、Sl2、l2は2船間の船長方向距離である。図?−4−1において、被追越し船Ship1および追越し船Ship2に作用する横方向(y1およびy2軸方向)

 

120-1.gif

 

図?−4−1 船体相互干渉力計算のための座標系

 

 

 

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