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3.2.2 評価指標SNS値の概説(図?−3−19参照)

 

生理学的特徴として、心拍数は交感神経、心臓迷走神経の活動にて調整されており、両者の活動がなければ、心拍数は高い値となり、交感神経による心拍数調節は0.15Hz以上の心拍数の変化(以下、心拍変動とする)を伝達し得ず、心臓迷走神経は1Hz前後の心拍変動まで伝達するということが知られている。
15Hz以上の心拍変動は心臓迷走神経活動によるものであり、0.15Hz以下の心拍変動は交感神経、心臓迷走神経両者の活動によるものである。これは、心拍数が心臓迷走神経活動に対しては敏感に反応し、交感神経活動に対しては鈍い反応をすることを示しており、このため、心臓迷走神経活動が全体の心拍変動に対し高ければ、心臓迷走神経が恒常的に少ない活動で心拍数を調節するので、人間はリラックスを感じ、交感神経活動が心臓迷走神経活動に対し高ければ、心臓迷走神経活動が少ない分、交感神経が心拍数を調節しようと多く活動するので人間は負担を感じるということが言える。以下、SNS値、PNS値について述べる。
実験で得られた図?−3−19−Bの心拍変動データ(心電図記録)から一周期内の図?−3−19−B“○”印に示される最大振幅波形を検出し、図?−3−19−AのRR6、RR7、RR8のように最大振幅波形の時間間隔をm/sec単位で求める。この最大振幅波形をR波と言い、時間間隔をR−R間隔と言う。このR−R間隔は図?−3−19−C時系列データで表され、これを、スペクトル解析を行うと図?−3−19−Dの結果が得られる。この図?−3−19−D斜線部0.15Hz以上を高周波数成分(HF)、格子部0.04Hz〜0.15Hzを低周波数成分(LF)ととらえる。
全体からの高周波成分の比率(HF/TOTAL)をPNS値(ParasympatheticNervousSystem)、低周波成分と高周波成分の比率(LF/H)をSNS値(SympatheticNervousSystem)と称している。
上述した生理学的特徴よりSNS値は交感神経活動を表し、PNS値は心臓迷走神経活動を表すと言われている。SNS値は負担、緊張度の指標とされ、PNS値はリラックス度の指標とされている。PNS値は呼吸の影響を勘案しなければならないので、今回はSNS値のみを評価指標として用いた。

 

 

 

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