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5ノットまで落とすと水路幅は350mで環境ストレスは“negligible”の状態となることがわかる。

 

2)減速とストレス値の低下
図?−3−4は、長さ100mの船が種々の速力で平行水路の中央を直進航行するときの環境ストレス値を算定した結果を示している。水路幅は300mと500mの2とおりとしたが、いずれの場合も速力の低下に応じて環境ストレスが小さくなることがよくわかる。
実際に航行水域が制約されると操船者は一般に速力を落とすが、この減速行動は操船者にとっては危険顕在までの時間余裕をできるだけ多く確保しようとする対応策であり、操船者にとってストレス低下につながる。

 

3)水路の屈曲とストレス値
港内操船において水深の制約を受ける航路の航行はストレスが高まるが、なかでも航路が屈曲しているときはなおさらである。図?−3−5は、港内航路の種々の屈曲角に対して操船者が感じるストレスを整理したものである。計算に際しては、水路幅を300mと500m、航行速力を10ノットと5ノットとして、それぞれの組み合わせについて算定結果を整理した。
この図において注目すべき点は、屈曲角が30°を越えるあたりからストレス値が急増する点である。運輸省令にもとづく港湾の技術上の基準によると港内航路の屈曲角は30°以内とすることが望ましいと記述されているが、これは過去の実績に照らし多くの操船経験者が港内屈曲航路操船時に感じてきた危険感をも考慮して決められたものと考えてよく、この面から見れば、ここで定義した環境ストレスは操船者の感覚をうまく表現するものであると言ってよい。

 

4)防波堤通過時のストレス値
一文字型防波堤で形成される港口を直角に通過するときの環境ストレスの算定例を図?−3−6に示す。なお、計算にあたっては自船長さ100m、速力10ノット、港口幅は1O0m,300m,500mの3種とし、防波堤の厚みは5mとした。
図?−3−6は、ストレス値の時系列変化を表わしているが、防波堤に接近するにつれてストレスが徐々に高まる様子や防波堤通過ととともにストレスが急減する様子など、通常操船者が感じる感覚をそのまま表現している。なお、港口幅が1L(Lは船長)となる場合には、100mの船が10ノットで通過するときはストレスのピークは“negligible”を越えてわずかながら“marginal”の領域に達することがわかる。

 

5)潮流外力下操船とストレス値
水路幅300mの平行水路の中央を長さ100mの船が、速力10ノットまたは5ノットで航行するとき、その水路で潮流の影響を受けるときの環境ストレスの変化を流向別に

 

 

 

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