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(1)自然環境条件と操船困難度
風潮流等の自然環境条件下における水道航行時の操船困難度について調査検討を打った。

 

1)評価手順
?一定の自然環境条件下における任意の船舶の航路航行を一定の制御則を用いて数値操船シミュレーションにより実施した。このときの出力として得られる船の操縦性能と環境条件による操船困難度の客観的評価量(E)を求めた。
?操船者の要素を考慮した操船困難度の客観的評価量(E*)を操船シミュレータ実験の操船結果により求めた。この時、同時に操船者より主観的評価値である操船困難度(R)を聴取した。
?これらの出力結果からE、E*およびRの関係を求めた。この関係を明らかにすることによって、操船シミュレーション計算結果より、多種多様の航行状況に対する操船困難度を推定した。

 

2)評価方法
操船シミュレータ実験により当該海域において「やや困難を感じながら操船する」に相当する操船困難度(EH)の値は45であるという結果が得られている。このEH=45で一線を引き各船型毎に安全に航行できる潮流外乱の限界を求めた。

 

(2)強潮流下における船舶の操縦特性
狭水道域を潮流、風等の外乱を受けながら航行する場合の運動特性ならびに航行領域についてシミュレーション計算により検討を行った。
1)検討方法
船舶の操縦運動方程式を用いて風潮流の外乱による影響を検討した。さらに、湧昇流を簡単にモデル化して、湧昇流が航行船舶の運動に与える影響について検討を行った。
2)検討結果
外乱による影響については、回答角速度の無次元値、目標とする針路と回答角との変位および目標とする航路からの横方向の変位に比例した操舵によってほぼ目標航路に沿って航行することが可能であることが示された。また、湧昇流の影響については海域全体の潮流の流速の変化の度合いに比べて湧昇流が存在する領域を船舶が横切るときの潮流の変化は一時的なものであるため、航行船舶の運動に与える影響はさほど大きくないと言う知見が得られた。

 

 

 

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