1.2.3 誤答率(17) 操船シミュレータを用いた実時間による実験から、操船困難度を表す指標の一つとして提案されているものが2nd’ryTaskにおける「誤答率」である。 2nd'ryTaskとは、操船者が行う主業務と同時に操船とは関係のない副業務(単純な計算等)すなわち2nd’ryTaskを操船者に課し、その達成度(誤答率)をもって操船の負担(操船困難度)を評価するものである。操船シミュレータ実験による操船者が感じる主観的な操船の困難度と誤答率との間には高い相関があると報告されている。 なお、ある調査研究では、可航水域幅を示す一つの指標として、操船者が「やや操船に困難を感じる」と言う段階に対応する誤答率48.5%を採用した事例がある。 1.2.4 その地 表?−1−1において示した指標の中から、狭水道における船舶航行の安全性評価に関係が深いと考えられるものについて、いくつかを簡単な説明とともに項目を列挙する。 視覚影響(12):操船の視覚感覚に基づく航行困難度を障害対象物との間に確保される水面の広がりと、評価対象水域に障害物のない時の水面の広がりとの比であらわす操船者の視覚感覚に基づく困難度評価モデル 偏位量等(24)など:分布潮流下の船舶の針路制御、船体運動をモデル化し、Fast-time Simulation(数値シミュレーション)にて航行状況を再現し、計画針路からの偏位等により操船難易度の評価を行う方法。操船方法を仮定する(自動制御とする)ことにより、流向、流速等の違いが航行船舶に与える影響を定量的に把握することが可能となる。 また、実時間にて実施した操船シミュレータ実験結果の航跡上のある地点から、仮のゴールラインに至るまでの操船を制御モデルを仮定した数値シミュレーションにて再現し、両操船結果の偏位量等の対比による評価から、実時間にて実施した操船シミュレータ実験結果が持つ潜在的な操船の危険度を表現する方法論も提案されている。 潜在的操船水域(25):時々刻々の時間断面において自船が保有する運動状態に着目し、その瞬時の運動質性を所定の目標のもとで制御する時、意図した制御が達成されるまでに使用されるであろう架空の操船領域を、一連の操船過程全ての時間断面について重ね合わせた時得られる閉じた領域を「潜在的操船水域」として定義し、同領域の大きさ、形状から、操船の難易度を評価する手法。
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