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より表現する。また、地理的環境条件による影響は、操舵量の指標により、操船性能の変化を表し、また操船情報の変化による影響も指標値の増減にて、操船性能の違いの度合いとして評価するものとしている。具体的には、評価の基準として、標準船型(全長:100m)の船舶が良好な状態下で航行する状態を指標値1とし、操船能力の減少させる要因の影響係数を(3)式に示すように掛け合わせる形で統合化して操船能力係数(CMC)として定義するものである。

 

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操船特性指標とは、船舶自体の操船性能および風等による変化の影響について、100m標準船の1.6L平行移動操船占有面積で指標化されるものである。
また、地理的条件指標とは、航路形状、潮流等の地理的環境条件の景況について、100m標準船の操舵量を基準とし、同操舵量を占有面積に換算(操舵角と操舵時間の積による所要操舵量と1.6L平行移動操船操舵量との比率にて換算)した上で指標化するものである。
なお、地理的拘束を全く受けない状況での指標値がOとならないように、結合係数を掛けた値に1を加算する等の配慮がなされている。
操船情報指標とは、視程、昼夜の変化の影響について、100m標準船の避航操船に要する占有面積の増減率で指標化するものである。
これら指標値の積で表現される操船能力係数は、100m標準船が視程の良い昼間、地理的拘束と外乱の無い海域を航行する時1として表現され、操船能力が低下するほど小さい値となるものである。
「航行環境の定量的評価手法に関する調査研究」の報告によれば、全長100mの標準船の来島海峡航行における操船負担度(DML)の平均は0.122であり、操船能力係数(CMC)は0.134である、したがって、同海域における平均的な操船困難度は0.910となる。ちなみに、明石海峡では0.622、東京湾中部では0.237、友ヶ島水道では0.124と言う計算例が示されている。

 

1.2.2 船舶の操縦性能および環境条件に対する操船困難度評価(「E*」(19))
操船困難度評価指標:E*は、下記に示す概念に基づき提案なされているものである。

 

・操船と言う行為は、針路、計画進路からの偏位、回頭角速度等を目標値に向けて制御するように舵角を設定することによって達成されるものである。
・したがって、目標値に対する針路偏差、横偏差、回頭角速度の値に重み付けをして加算したものは、操船の難しさに関係する要素であると考えられる。

 

 

 

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