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この5つの指標のうち、1.2項では、「航行環境の定量的評価手法に関する調査研究」(日本海難防止協会)等にて調査・研究がなされた評価指標「操船困難度(MD)」、および「E*」、「誤答率」について概観する。

 

1.2.1 操船困難度=MD(20)

 

他船舶等との衝突の虞が発生する出会い頻度、また衝突の虞を回避する難しさと言う要素を「操船負担度」と定義し、また、自船の操船性能等に起因する要素を「操船能力係数」として考える。そして、この「操船負担度」と「操船能力係数」との比を操船の難しさを表す指標「操船困難度(MD)」とする方法論が提案されている。
つまり、他船舶と衝突の回避が難しい状況で頻度高く遭遇すれば、操船困難度は高くなり、また、自船の操船能力が向上すれば、操船困難度は低くなると言う指標である。
操船負担度において考慮される要素は、遭遇する船舶との出会い隻数(交通量)、出会い状況(見合い角、最接近距離、最接近するまでの時間、相対速力、自船の全長、遭遇する他船舶の全長、原針路・速力維持の好ましさ等)である。また、操船能力係数において考慮される要素は、自船の操縦性能、風潮流との関係による操船性能、地理的環境条件、昼夜・視界状況等による操船情報に関するものである。

 

以下、提案された操船困難度指標の概要について記す。

 

他船舶との出会い状況による避航操船方法の閉塞の程度と、自船の操船能力との比から、操船困難度の評価を(1)式で定義する。

 

060-1.gif

 

また、操船能力係数(CMC)は、ある標準船型の船舶が外力等が存在しない海域にて平行移動操船の幅寄せ1.6L(L:船舶の全長)を実施した時(舵角35度を用いた最短時間制御)の平行移動操船占有面積を標準とした比率にて算出するものである。
なお、外乱等による操船特性の変化については、平行移動操船時の占有面積の大きさに

 

*避航空間閉塞度:他船舶と自船との遭遇状況から定まる衝突危険度と、その場で自船の採り得る避航操船手段の積を基準にした指標であり、避航操船手段の自由度が制限される程度を0〜1の比率で表すものである。

 

 

 

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