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6. 航行安全対策の検討課題

 

6.1 基礎調査のまとめ

 

地形が複雑なうえ強い潮流が流れ、かつ瀬戸内海の東西交通の要衝として航行船舶が輻輳する来島海峡は、海上交通安全法により来島海峡航路が定められ船舶交通の整流が図られているにもかかわらず、衝突・乗揚げの海上交通事故があとを絶たない現状にある。
来島海峡では「順中逆西」の航法と呼ばれる変則的な航法が定められており、この航法は明治末〜大正期(1900年代初め)には航海者一般の常用航法として普及しており、今日に至っているものと思われるが、

 

?海難の発生状況を見ると、変則航法(左側航行)となる南流時(49%)の海難が北流時(31%)
より多いことや、航路分離がされているにも拘わらず行会い関係の衝突海難(18%)がみられる等、「順中道西」の航法と海難との関連が窺われる。
?操船者の意識調査によれば、「順中逆西」の航法に起因する、関連すると思われる、航路出入口の混乱(第2位)、憩流時の行会い(第3位)が、通航時に注意する事項の上位となっている。
?また、右側一方通航の是非については、「可能だと思う」(26%)、「条件付きで可能だと思う」(28%)とする肯定的な意見が54%に対し、「不可能である」とする意見は33%で、操船実務者は右側一方通航を全く否定しているものではない。(但し、水先人は回答者全員が右側一方通航より順中逆西がよいとしている。)
ことから、航行安全対策の一方策としての右側一方通航の可能性とその条件等について検討することが必要と思われる。

 

 

 

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