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?W章 中高年者の健康指標としての体力

 

プロジェクトのねらいとまとめ[体力調査専門委員会]

委員長 青木純一郎

 

近年特に運動不足による体力低下が健康障害と強く関連づけられて問題視されるようになってきた。このような状況を背景にして、現行の体力テスト項目を、健康に関連する体力という観点から吟味し、新たな視点での評価基準の設定やテスト方法の標準化の探求が健康・体力づくり運動に急務の研究課題であるとの認識のもとに、本プロジェクトは3年計画でスタートした。
今回はその2年次の研究の内容の報告であるが、各班の研究概要は以下の通りである。
全身持久力 初年度に女子大学生を対象として最高心拍数の75%に相当する酸素摂取量(Vo2@75%HRmax)の有用性を示唆した加賀谷班は、今年度は中年女性がこの強度まで歩行を続けることが可能かどうか、またその際の血圧の上昇を測定し、本法が中高年者に適用できるかどうかを検討した。
被験者は特に運動習慣のない39〜54歳(46.1±1.0歳)の女性23名で、トレッドミルの傾斜漸増によるランプ負荷歩行を、年齢から予測される最高心拍数の75%に達するまで行わせた。その結果、全員が目標の強度まで歩行することが可能であった。
収縮期/弛緩期血圧は、安静時の132.3±2.7/84.2±2.2mmHgから、75%HRmax時には153−9±3.9/81−5±2.7mmHgに変化した。また、Vo2@75%HRmaxは21.4士1.0mZ/kg分を示し、20歳代の女性の値(28.4±0.8mZ/kg・分)の76%に過ぎなかった。
したがって、中年女性においても、トレッドミルによるランプ負荷歩行テストで、Vo2@75%HRmaxを全身持久性の指標とすることが可能であると結論された。
一方、一般成人を対象に自転車エルゴメータによる有酸素性作業能を評価する指標の検討およびその標準値の提示に取り組んでいる田村班では、昨年はPWC@75%HRmaxが全身持久性の指標として有効性に疑問があることを指摘した。
今年度は一般成人男性510名、女性924名を対象に、自転車エルゴメータによるランプ方式による負荷漸増最大運動を行わせ、換気閾値VTおよび運動終了時点の仕事率Wmaxならびに両者に相当する酸素摂取量を測定した。
得られたデータの検討は、アンケートにより対象者を運動習慣のある(週1回以上)群

 

 

 

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