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Fig.5. Comparisons of the total training xoume of the each training intensity classified with HR during training among fema;e and male runners in junior high school and in univesity.

 

した両校とも短時間に効率よく練習する意図から、必然的に質の高い練習量が多くなったきらいがある。成人では多段階運動負荷テスト時の4mmol/lLAに相当する運動強度は乳酸の生成と消失スピードが均衡し、乳酸の定常状態が成立する強度の上限の指標であり、この強度を越えると継続時間に応じて乳酸が蓄積し疲労困憊に至ることになる4)。子どもは解糖能力が低く、最大血中乳酸濃度も低値であることが知られており1)、成人に用いられる血中乳酸濃度を指標とした運動強度の設定法が子どもにもそのまま適用できるとは限らない。子どもの4mmol/lLAに相当する運動強度は乳酸の定常状態が成立する最高強度よりも高い強度である可能性が大きい。発育期の女子中学生はかなり成人に近いと推察されるものの子どもの特性を持っている可能性も否定できない。したがって女子中学生にとって4mmol/lLAを越える運動強度は生理的負担度が非常に強い運動と考えられる。実際4mmol/l以上の強度ではRPEは全員16を越えているのでかなりの負担を強いている様子が伺える。一方2−3mmol/lでのRPEは11〜13でゆとりをもって行える強度である。今回それぞれの強度の心拍数は2mmol/lLAで167±11拍/分、3mmol/lLAで178±14拍/分であり、2−3mmol/lに相当するスピードは81−86%VO2max程度と推察される。この強度であれば呼吸循環器系機能の向上が期待できるし6)、遅筋線維ばかりでなく速筋線維もかなり動員されその両筋線維の酸化能力を高める刺激にもなるものと考えられる2)。一方4mmol/l強度以上のさらに強度の強いトレーニングがそれ以上のメリットをもたらすか否か不明である。むしろ4mmol/l相当でのトレーニングよりも若干低い強度のトレーニングの方が競技成績が向上したとの報告もある3)。中長距離の競技成績のピークが20−30歳代であることを考えると、中学生の時期には4mmol/l以上の強度のトレーニングは少なくとも大学生以下の量に抑えたほうが良いように思える。

まとめ

女子中学生を対象にクラブ活動中の走行距離とラップタイムおよび心拍数を1週間にわたって記録し、あらかじめグランド走から求められた血中乳酸値とスピードおよび心拍数との関係式を用いて、トレーニング中の運動強度と身体活動量を定量し女子大学生陸上競技部長距離選手と比較した。その結果、

 

 

 

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