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第3の問題点はやや間接的なものではあるが、このような基礎代謝の低下が筋肉量や筋肉細胞の代謝活性の低下と関係しているということは、その背景のひとつとしていわゆる老化現象のみでなく、加齢にともなう日常の身体活動量の低下もかかわっていることを意味している。運動不足は良く知られているように諸成人病の危険因子となる多くの栄養関連の代謝異常をもたらすとされており、したがって中高年におけるエネルギー代謝の低下は部分的に組織の老化にともなう代謝異常疾患易発症性とも関連しているといえる。

諸栄養素の栄養状態にかかわる中高年の特性

多くの栄養素について言うならば、中年から高齢期になるにともなって起こる体内の諸代謝活性の低下のため、その需要量も原理的にはエネルギー同様加齢にしたがって低下すると考えられる。しかし、おそらく高齢になるにしたがって食物から摂取する諸栄養素の利用効率も低下することが知られており、全体としてはむしろ相対的に摂取必要量が高くなるのではないかと思われる。事実、必須微量栄養素の栄養状態に関する多くの観察結果によれば、一般に加齢にともなって多くの栄養素の栄養状態の低下が認められているようである。代表的な例として図5にビタミンCの栄養状態の指標である血漿ビタミンC濃度と白血球ビタミンC濃度の年齢階級別の変動傾向を示したが、男女ともほぼ一致して高齢になるほど低値となる傾向が認められる。

図5 高齢者の血漿中および白血球中のビタミンC濃度

血漿ビタミンC

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白血球ビタミンC

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