図11 高齢者のひとり歩行と支持歩行の比較
杖よりも手押し車を用いた方がより安定するので、背すじを伸ばしやすくなり、下肢筋の過緊張を除くことができ、より長く歩くことが可能となる おわりに 通常、移動の手段として用いられている歩行が、健康増進運動としての歩行になるかどうかを、筋の働きの面から検討した。 負荷の軽い日常歩行でも長時間行なうことによって、多くの下肢筋が強化されることが筋電図的に明らかとなった。 大股速足歩行のエクササイズウォーキングは、前進力の得られる踵押し上げ時には、ジョギングで使われる股関節の伸展筋である太もも後面のハムストリンクス(大腿二頭筋)は働かないが、膝の伸展筋である太もも前面の大腿四頭筋(内側広筋、大腿直筋等)が働き、階段上がり歩行と極めて類似した。 背すじを伸ばすこと等を意識したニューエクササイスウォーキングは、ジョギングと同様踵押し上げ時にハムストリンクスが参画した。また、背すじを伸ばすことによって、躯幹筋の腹筋・背筋、ならびに大腿筋が働き、姿勢矯正にも大いに役立つことが明らかとなった。 以上のように、歩き方を少し意識するだけで、歩行が十分運動となることが筋活動の面から示唆された。 また、高齢者になるに従い、筋力やバランスが衰え、背中や膝が曲がった歩行になるが、この高齢者歩行は、我々の行なっている歩行よりかなり脚筋に負担がかかり、重労働になっていることがわかった。筋負担が大きいとますます歩くことが苦と
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