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前部により大きな負荷のかかる歩行様式であることが明らかとなってきた。
日常の速足歩行には大股速足と小股速足がみられる。前進力の得られる踵押し上げ時に、膝の伸展筋である大腿四頭筋は小股速足歩行より、大股速足歩行の方が強く働くことがわかった。
このことから、膝の伸展筋(大腿四頭筋)を強化するためには、同じ速足歩行でも小股速足よりも大股速足の方が適切と言える。
エクササイズウォーキングにおける上肢は、肘を直角に曲げた状態で腕振りを行ない、この間に肘を曲げる上腕二頭筋、肘を伸ばす上腕三頭筋、上腕を前後に振る三角筋等が強く働き、上肢筋群の強化に役立っている9)。この腕振りはジョギングと同様速く歩くための合理的な方法である。
肘を曲げたエクササイズウォーキングは、公園・グラウンド等で行なうのはよいが、日常の服装で肘を直角に曲げた速足歩行は、街中では人目を引くので行ないにくい。しかし、肘を曲げない自然な腕振りの大股速足歩行は、場所を選ばずどこでも行なうことができる。

3. 階段歩行

平地歩行よりも負荷が大きい階段上がり歩行について検討してみた。
前進力の得られる踵押し上げ時には、膝関節伸展筋の内側広筋・大腿直筋、股関節伸展筋の大殿筋の放電様相が、エクササイズウォーキングと極めて類似していた9)。このことから、階段上がり歩行は筋活動の面からエクササイズウォーキングに代わり得る運動と言える日常生活の中で、駅・百貨店・マンション等で長い階段を多く見かけるが、エスカレーター・エレベーターの普及により階段を使用する人々が年々減少している。しかし、階段上りを体力づくりの機会と考えれば、この長い階段も有効なトレーニングの場となり得る。

4. ジョギング

図4は、スロージョギングの筋電図である。
前進力の得られる踵押し上げ(push off)時、股関節伸展に働く太もも後面のハムストリンクス(大腿二頭筋)に集中した放電が認められた。しかし、この間、拮抗筋である大腿直筋の放電が減少・消失する傾向がみられ、エクササイズウォーキングと逆の放電様相を示した。このことから、ジョギングでは踵押し上げ時

 

 

 

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